fc2ブログ
 

竹ノ中差出箱

竹ノ中差出箱

我の立っているこの村の名は付喪村(つくもむら)

その村の竹の葉が陽の光を遮る細く入り組んだ細道の末端に我は立っている

我はいつの頃からここに立っているのだろうか

ただ立っているだけの存在なのだ

それでも色々な事を考えたり・・・心もある

・・・心・・・たぶんあると思う

我の存在は・・・その理由は・・・価値は・・・

そんな事も考えたが今はもうどうでもいい

そして我は悟った・・・






ある村人が蝉の鳴き声が木霊する中コソコソとこちらに来る

人目を気にしているようだ

そして我に手紙を手渡した

その内容は・・・





会社の上司が私に嫌がらせをする

憎い・・・会社を辞めれば済む事なのだろうけど・・・

何故か辞められない自分がいる

私はどうしたらいいの・・・あの上司を・・・

その後の文面は途切れていた





雨がシトシトと降る秋の夕刻・・・

笹の葉のトンネルは雨音を増幅させていた

そんなある日・・・

小さな小僧が雨に濡れて我の所に来た

小さな手は雨に濡れ、手紙も同じく・・・

小さな手は震え、その手で我に手紙を手渡した

その内容は・・・




ぼくはお父さんとお母さんに嫌われているんだ

きっとそうだ!!

だって・・・

そこで文面は途切れている

小僧の顔を見ると薄紫のあざが出来ていた





ある雪がしんしんと降る深夜

女子高生が現れた

この日はクリスマスイブと人はいうのか・・・特別な日らしいが馬鹿げたものだ

女子高生はこの寒い中、制服一枚で現れた

そして手紙を私に手渡した

その文面は・・・




あの女が憎い

あの女は私の彼氏を奪い取った

今頃はきっと二人で・・・




そして女子高生はポケットから小さなナイフを取り出し

躊躇なく手首を切った

鮮血が雪の積もった白の世界に鮮やかに舞った





最後の文面に・・・

「呪ってほしい」

と一言・・・





「なんと美しいんだ」

「彼岸花が無垢な雪景色の中に咲き乱れているようだ」





契約は整った

お前の手紙の一言と血の契約と魂の澱み

それが契約の証だ





契約を行う人間は年に数人しかいない

恨みつらみはあるがどこかで人間というものは制約に阻まれる

それが人間というものであり、それが理性というものだ

そして最後の一言が書けない

我から見れば人間という生き物は無駄な時間を過ごしている

だから我のようなものが存在するのだろう

我の名は古くは「だいだらぼっち」と呼ばれている

今では「竹ノ中差出箱」とも呼ばれている





さて・・・男を奪った女にどんな呪いをかけようか・・・

それと手紙には書いていないが移り気な男も・・・


竹ノ中差出箱


我はその事を成し遂げる事が授かりし命であり至福を感じるのだ






 にほんブログ村 写真ブログ 心象風景写真へ
スポンサーサイト



Guide
  •  …この記事と同じカテゴリの前後記事へのページナビ
  •  …この記事の前後に投稿された記事へのページナビ
         
風あざみ  ←風あざみ 【2022年08月】の更新記事一覧 →狐小僧 beginning  狐小僧 beginning
 

~ Comment ~

太古の神だいだらぼっちの権化の姿か、差出箱付喪神となり、だいだらぼっちとなったのか・・

謎は深いが人の怨みによって存在している呪われたモノのようですね・・
でも慈悲も無く不条理な世界においては救世の存在とも思えます。

>矮星さん

日本の文化は色々な神がいて、負の要素を持った神も存在し崇められているという事が面白いです

絶対神がすべての答えではつまらないですしね

どうしてこの竹の中差出箱が存在するのか、それは人の恨みつらみからくるものでもあり、それが竹の中差出箱が辿り着いた答えですが、その答えの選択肢は色々とあり、もしかしたら違う理由で存在したかもしれない、という感じで誕生秘話はチョッと濁してみました^^
  ※コメントの編集用
  シークレットコメントにする (管理者のみ表示)

MENU anime_down3.gif

同じカテゴリの記事が一覧表示されます
同じタグの記事が一覧表示されます
更新月別の記事が一覧表示されます
キーワードで記事を検索