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ル・リュンヌ・メルヴェイユー 2

ル・リュンヌ・メルヴェイユー 2

私はフレンチトーストというものをこの歳になるまで食べた事がなかった

そのフレンチトーストが目の前にある

甘い香りが漂ってくる

老婆の方を見ると意味深な笑みを浮かべていた

美味い!?

なんだろう、この食べ物は?

また老婆の方を見たら老婆は嬉しそうな笑みを浮かべていた

フレンチトーストは濃いめの珈琲とも相性がよかった

「珈琲もフレンチローストだからね」

と老婆がそっけない素振りで言った

珈琲とフレンチトーストを食べ終わりミントの葉が入っている水を飲む

重めのものを食べ終わった後の清涼感が心地いい


ル・リュンヌ・メルヴェイユー6


そして気付いた事がある

各テーブルの端に古いはかりが置かれていた

これも商品でディスプレイされているのか?


ル・リュンヌ・メルヴェイユー7


老婆の方を見ると老婆は西洋煙管を吸い素知らぬ顔をしていた

自分のテーブルのはかりを見てみる

はかりの上にはカゴがのっている

そのカゴの重さが今針がさしている重さなのだろう

しかし、私が座った時の針はもう少し軽い数字をさしていた気がする

それは私の勘違いなのかとも思った


ル・リュンヌ・メルヴェイユー9


私は少し戸惑い老婆の方を向いた

老婆は煙管の煙をはきながら答えた

「あんたは気付いたようだね・・・」

「そのはかりはそこに座った人の心・・・いや、気持ちが計れるのさ」

「軽くても重くても・・・どちらがいいとも限らない」

「その針が示した数字が今のあんたの気持ちの重さということなのさ」

「それをどう受け止めるかはあんた次第なんだよ」

私は老婆のありえない言葉に困惑した

私は最近イライラすることが多かった

その気持ちが今、はかりがさしている重さなのか・・・

それとも昨夜の少しの時間、彼女と逢い気持ちが軽くなった

その重さなのか・・・

いやいや、気持ちが計れるはかり自体おかしい・・・

私は更に困惑したがこの針のさす数字をなぜか私は信じた

そして老婆に目線を移した

老婆は吸い終わった煙管の手入れをしていた

視線を窓に移す

外は長く続いていた雨が止み光がさしていた


ル・リュンヌ・メルヴェイユー8


私はカウンターに行き老婆に食事代を払おうとした

「今日はあたしのおごり」

「次に来た時はきっちりお代をとるからね」

と老婆は言いニコッと笑った





家に帰り辞書を開いた

ル・リュンヌ・メルヴェイユー・・・

Le lune merveilleux・・・

「月」 「不思議」 

単語だけの意味はこうなる・・・

またお店に行ってみようと思った


end






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