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弾丸は夢の速さ

弾丸は夢の速さ

男は拳銃をこめかみに押し当てた

スチールの冷たい感触が予感する

これから起こることを・・・




男はある日、人通りのない道を歩いていた

男は疲れていた

その疲れは男の吸う煙草の本数から垣間見る

ふと、電柱が生えている地面の影が気になった

そこには油紙で包まれた物が不自然に転がっていた

男はそれを無視して通り過ぎたがどうも気になる

次の日もその物はそこにあった・・・さらに次の日も・・・

そして四日が過ぎた日、男はその物を手に取った

見かけによらずずっしりとした重さと硬質な感触が掌に伝わった

男はそれをカバンの奥に詰め古ぼけたアパートに帰った




その油紙の中にあったのは拳銃だった

男は何故かその事に動じず暫く眺めていた

拳銃は2インチ スナブノーズリボルバー、シンプルな拳銃だ

男はシリンダーを見た

弾は一発だけ抜けていた

男は思う・・・一発だけ使ったのかと

そして男は拳銃をカバンにしまった




カバンがいつもより重く感じる

そして仕事場を往復する日々

その重さが日に日に重くなることを男は感じていた

それは心の重さだと男は感づくのに時間はかからなかった

男はその銃を今日、脱力感が最大限に達した日、使おうと何となく思い、自分の限界が来たのだなと思った





俺はこめかみに銃口を押し当てた

銃口の冷たさがこめかみをひくつかせる

手に汗をかいている、額から冷たい汗が一筋流れる

汗は頬をつたい地面に向かう

だが俺は冷静だった

周りの景色はコントラストを上げ、空気のささやかな流れを感じ、梅雨独特の湿った湿度は不快感とは違う心地よさを感じる

汗が地面に落ちる

コンマ数秒で地面に接する

そして引き金を引いた




弾は銃口から悲鳴を上げるようにこめかみを直撃し頭がいを砕き脳をかき回し、そして反対側の頭がいを外にぶちまけた

スローモーションのようにその工程は進み、そして俺は横に倒れ込んだ




弾丸は夢の速さ





俺は何時間ここに倒れていたのだろう

冷たいコンクリートの地面が身体を冷やしていた

どうやら一発抜けていたシリンダーの引き金を引いたらしい

俺はふらふらと起き上がり足元を見た・・・そして空を仰いだ

足元は水たまりで澱み、空は赤茶けた雲が覆っていた




男はその銃を油紙に包み電柱の影に放り投げ不快な足取りでアパートに帰った






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