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細い糸 3 おもい〔おもひ〕【思い/▽想い/▽念い】

細い糸 3 おもい〔おもひ〕【思い/▽想い/▽念い】

私はスィーツを作っている主任

季節の変わり目は新作を作らなくてはならない重圧に悩まされる

試行錯誤で試作を作っているけどいい評価はもらえず・・・

そんなある時、試作のスィーツの味見をしようと思い口に入れたが味がしない

私は戸惑いもう一度試したけど結果は同じだった

私はガクンとひざまずき震えた

「主任!!大丈夫か!!」と駆け付けたのは和秋という名のまだ駆け出しのパティシエだった





主任は座り込み震えていた

そのまま付き添って病院に行き診察の結果はストレスによる味覚障害だった

秋に向けて新作を出そうと休みもなく深夜まで働いた結果だった

主任は休養が一番大切だということで家で静養する事になった

だが責任感なのだろうか家にいても心が落ち着かないという

何を口にしても味がしない

ただただ惰性で味もしない物を口に運んでいるという





秋雨が降る日、俺は自ら今シーズンのスィーツの試作作りに志願した

まだまだ俺は未熟すぎる

でも・・・

それからは試行錯誤だった

深夜まで試作を作ってはダメ出しをもらう

行き詰まり、その先が見えなくなる

そんな日々が続いた





ある休日の日・・・

俺は主任を店に連れ出した

毎日、家にこもって自分を責め続けているからだ

俺は試作のスィーツ作りに行き詰まり落ち込んでいた

やはり俺には無謀だったのかもしれない

俺は主任が見ているなか試作のスィーツを作り始めた

イメージはもうできている

それを現実にする術が俺には今はない

作り始めると主任は別の部屋に行き見向きもしなかった

思ったように出来上がらない

俺は苛立ちを抑えきれず壁を叩いた

主任のプレッシャーを身をもって感じる

そういう世界なんだと改めて考えさせられる

主任はその音を聞いて部屋から出てきた

そして試作の工程を見・・・色々とアドバイスをしてくれた

そして試作のスィーツは出来上がった





おもい〔おもひ〕【思い/▽想い/▽念い】




主任はそれを口に運びニコッと笑った

俺は額の汗をぬぐい主任を見つめた

一瞬、味覚が戻ったのかと思ったが、それは口に出さなかった





それからこのスィーツが店頭に並んだのは一週間後だった





主任はお店に訪れ俺の作ったスィーツを買っていった

俺はその姿を厨房から横目で見ていた





未だ主任の味覚障害は治っていない

いつか二人で作ったスィーツを二人でおいしいと感じ取れる日まで・・・

それが俺の夢であり主任の未来なのだから




私は和秋さんの作ったケーキを三つ買って両親の所に向かった

両親に会うのは久しぶりだった

実家の玄関を開けると両親が出てきて一瞬の沈黙があった

その後、にこっと微笑んで私を受け入れてくれた

父が一言こういった

「桜雪(さき)・・・何かいいことがあったのかい?」・・・

私は一言「うん」と笑顔で答え

そして涙がこぼれ落ちた





end






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